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ヤシガニ剥製

剥製の制作を始めて約12年・・・。

いつかはヤシガニを剥製にしようとずっと思い続けてきました。

その独特な形状と模様の複雑さから制作を敬遠してきましたが、今回思い切って挑戦してみることにしました。






沖縄の市場にお願いして冷凍したものを送っていただきました。

食用に売られているものなので、観賞用のものより少し安く入手できたと思います。


脚が欠損していますがこの程度なら修復可能です。

気にせず制作に取り掛かりましょう。







まずはボイルします。

当然のことながら赤く変色してしまいました。

これを元の色に塗装し直すには苦労しそうです💦

開始早々先が思いやられますね💀






続いては除肉です。


原形をとどめたまま作業したいので、体のパーツはなるべく切り離さず、耳かきなどを使って関節の隙間から少しずつほじくるように身を掻き出していきます。






3時間かかってやっと除肉終了。


小さい個体だったので身はそんなにないだろうと甘く見ていましたが、脚の隅々までぎっしり身が詰まってて取り除くのが大変でした💦


掻き出した身を集めてみると小さな茶碗1杯分もありビックリ!

グロテスクな見た目とは裏腹に濃厚なミソがめちゃめちゃ美味かったです。


いろんな意味でヤシガニを完全にナメてました^^;






除肉が終わったら、形を整えて乾燥させます。






縮れていたヒゲの形も整えて、乾燥作業終了です。

折れていた脚も問題なく接着できました。




次はいよいよ塗装作業です。

体の細部に至るまで細かい模様が並んでいるので、これを一つ一つ塗り分けていくのかと思うと気が遠くなりますが、ここまできたからには覚悟を決めて臨みます!







まずは塗装第一段階。

ハサミの先端や脚の裏側に青ベースの色を塗っていきます。


この作業だけで4時間かかりました💦


一日目はここで終了。

これはかなり手強そうです(>_<)







塗装第二段階。

甲羅や脚の表側、腹部に紫をベースにした色を塗っていきます。


この作業には5時間かかりました💦


「こうして夕となり、朝となった。二日目である。」






次は腹部の塗装に移ります。

腹部にはよくわからないブツブツがあり、なぜかここだけ色が違うのです。


「なんでここだけ色が違うの💢」


と、心のなかでブツブツ言いながら地道に筆塗りしました。






ブツブツを塗り終えたのがこちら↑


この作業には1時間程度しかかからなかったのですが、かなり気力を奪われました。


疲れたので今日の作業はこれで終了!


「こうして夕となり、朝となった。三日目である。」







次はいよいよ体の模様を一つ一つ塗っていきます。

これが一番大変な作業かもしれません。

模様が多すぎて全然終わりが見えませんでしたが、「止まない雨はない」、「明けない夜はない」と自分に言い聞かせながらひたすら塗っていきました。







コツコツ筆塗りすること5時間・・・。


やっと・・・やっと絵の具での塗装作業が終了しました!

ここまで長い道のりでしたが、ようやく終わりが見えてきたような気がします。






1週間ほど乾燥させたら、次はウレタン塗装です。

この作業によって強度と耐光性がアップします。


水中に生息している種類ならこのまま完成なのですが、陸上生活のヤシガニは表面がこんなにテカテカしていません。

そこで乾いた質感を再現するために最後に一手間加えてツヤ消し塗装をします。








ツヤ消し塗装を施し、十分に乾燥させたら完成です!




つ・・・ついに長年の悲願だったヤシガニが完成しました (TдT)

予想通り塗装には苦しめられましたが、時間をかけただけの仕上がりになったと思います。

これまでの剥製師人生の中で間違いなく最高傑作です!




しかしまだまだ未熟者であることに変わりはありません。

これを越える作品を作れるようにこれからも技術の向上を目指して頑張ります。

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