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シオマネキ剥製

「ルリマダラシオマネキ」という名前を聞いたことはおありでしょうか?






何やら長ったらしくてややこしそうですが






シオマネキというカニの仲間で






その名の通り瑠璃色のまだら模様がとてもきれいです。


国内では八重山諸島、宮古諸島、沖縄諸島に分布しているそうですが、中国地方に住んでいる私にはまずお目にかかる機会はありません。




「こんなきれいなカニをいつか見れたら良いな~。でも見ることはないんだろうな~。」




と漠然と思っていたら、




なんと偶然にもTwitterのフォロワーさんから

「沖縄方面へ旅行に行った際に捕まえたルリマダラシオマネキが死んでしまったので、それを剥製にできないか」

というお問い合わせをいただきました。


画像を見ても分かるように、めちゃくちゃ小さくて模様も複雑なので、そもそも剥製に仕上げることが可能なのか不安でしたが、めったにないチャンスです。

送っていただくことにしました。






そして到着したのがこちら↓

全体的に黒ずんでいます。

死んだらこんなに変色してしまうとは・・・。

あの美しい瑠璃色は生きているときにしか見れない幻の色なんですね。



これ絶対塗装が大変だわ~💦


甲羅の幅も2cm程度とこれまでで最小クラスです。

殻を壊してしまわないか、うまく塗装ができるのか前途多難ですが、引き受けた以上後には引けません。




それでは恐る恐る制作開始です。






いつものようにまずはボイル。


瑠璃色だった部分は白く、黒かった部分は赤く変色してしまいました。

ハサミの色はあまり変化がないようです。

部位によって変色具合が異なるというのも興味深いですね。







続いて除肉。


殻が割れてしまわないかヒヤヒヤものでしたが、順調に作業は進んでおります。






ポーズを整えて乾燥させます。


シオマネキなので、その名前の由来となった潮を招いている(実際には求愛行動)ポーズにしてみました。

なかなか良い感じになったのではないでしょうか。






さてここからが最大の難関、塗装です。






案の定苦戦する羽目に💦


幅2cmしかない甲羅の中に模様を描き込むという鬼畜クエスト。

老眼のジジイにはかなりの拷問です (TдT)







塗装開始から1時間経過・・・。

これだけしか進んでない (ToT)






さらに1時間かけてやっと甲羅の部分が塗装できました。

細かすぎて全然作業が進みません(>_<)






脚とハサミの部分を塗り、これで絵の具での塗装作業は終了です。

完成までもうちょい!







最後にコーティングを施して完成です!




な・・・なんとか完成まで漕ぎ着けることができました。


細かい模様の描き込みが大変でしたが、制作を進めていくにつれて作品が出来上がっていく様子を見るのは楽しくもありました。

そして作品が完成したときの達成感!

作り手だからこそ味わえる醍醐味だと思っています。







もしも制作途中で壊れてしまったときのためにと予備で送っていただいた他の個体も



無事完成しました。






サワガニと比べるとその小ささがより分かるかと思います。


これまではサワガニが自分史上最小の作品でこれが自分が作れる限界の小ささだと思っていましたが、それを更新する形となり、頑張れば何とかなるものだとまた一つ自信につながったような気がします。


依頼者様にもご満足いただけたようで、肩の荷が下りました。

思い出を形に残すことができ剥製師冥利に尽きます。




作品が完成して改めてこんなに美しいカニがこの世に存在するのだと実感しました。

いつか自然下で実際に活動している様子を見てみたいものです。

こうした小さな生き物たちがいつまでも暮らしていける環境を守っていかないといけませんね。


・・・と剥製作りから色々と想いを馳せる今日このごろでした(笑)

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